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2012年10月14日 (日)

外務省の「謀略」――「北方領土」交渉において

 以前、「日米関係と『北方領土』問題――再び『ダレスの恫喝』」という記事で、日ソ国交回復について書きました。
 ソ連側から日本の予想もしていなかった「二島返還」の提案がなされ、松本俊一全権は「これで交渉妥結だ」と喜んで本国に報告するのですが、これが外務省によって握りつぶされてしまったのでした。

 あまり詳細にわたっても、ひたすら長文になってしまうので、その時にはふれませんでしたが、このあとの展開についてもう少し書いてみます。

 当時は鳩山政権の時代ですが、外務省は完全に吉田茂の意思で動いていました。いわゆる「Y項パージ」というやつで、吉田の意に従わない職員は辞めさせられるか閑職に追いやられるかのどちらかだったのです。

 吉田茂は日ソ国交回復に反対していましたから、外務省も鳩山の手足になって働くどころか、何かというと交渉を妨害することばかりやっていました。

 さて、松本俊一からの知らせを受け取った外務省・吉田局は、次のような行動をとりました。

  • 情報は、しっかり秘匿し、鳩山首相に伝わらないようにした
  • 新聞記者に、こんなリークを行なった
  • 「ソ連と交渉中のわが国政府は、従来よりさらに踏み込んで、択捉・国後・歯舞・色丹の四島の返還を要請する旨、ソ連側に伝えた」
  • (新聞は当然このリークをそのまま報道します)
  • リーク情報が、十分に浸透したタイミングを見計らって、松本全権からの報告を発表した
  • すなわち、ソ連が「歯舞・色丹の二島の返還」を提案してきたという報告です

 すごいですね。
 松本俊一からの報告は、一時的には発表を控えたものの、交渉場所のロンドンにも日本の記者が行っていますし、いつまでも抑え続けるのは不可能です。いずれは発表しなければなりません。そして、現に発表されたわけです。

 しかし、事情を知らない国民は、その発表をどう受け止めたか?
 私たちには、容易に想像がつくと思います。
 そうです。何のセンセーションも呼び起こさなかったのでした。

 この発表より一つ前の報道では、日本が「四島返還」を求めたとありました。
 ソ連の提案は「二島」です。日本の要求を受けいれずに、値切ってきたことになりますから、国民が「これで交渉妥結だ!」と喜んだりするはずもありません。

 時間的には前後しますが、松本全権は訓令の支持どおり、その後の交渉で確かに「四島返還」を日本の方針としてソ連に伝えることになります。
 ですから、外務省の発表には、結果的には何の虚偽もなく、すべては発表され、すべては思惑どおり、暗礁に乗り上げてくれたのです。

 しかしながら、前回の私の記事をお読みの読者にはお分かりのように、外務省が「四島返還」をリークした時点では、そんな方針は存在していませんでした。日本のもともとの方針は「二島返還」であり、ソ連の提案はそれに完全に合致していたのです。

 以上は、極秘情報でもなんでもありません。当時の新聞報道を、縮刷版で読めばすべて確認できます。当時の新聞読者が持っていなかった情報――松本俊一の『モスクワにかける虹』という本――を参照しながら、新聞記事を読めば、現在の私たちにとって真実は紛れもなく明らかなのでした。

 以上は、なんのことはありません。一つの「謀略」の例です。
 「謀略」が私たちとは無関係の話でないことを確認いただけるでしょう。

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民主主義」カテゴリの記事

コメント

はじめまして。

TBした記事にも書きましたが、私はあなたの10月8日付記事と10月11日付記事のTBは受け取っていません。該当箇所についての訂正と謝罪を要求します。

なお、私があなたの2つの記事をごっちゃにして区別もしていないというあなたのご指摘については、事実を認め謝罪します。

「koijitakenの日記」は、言及リンクがなくてもトラックバックできるそうですよ。

(先のコメントでは、私もかんちがいしていたのですね。)

すいません、事情がわかりました。
「kojitakenの日記」は、トラックバック先に、「koijitakenの日記」へのリンクされていないと表示されないようになっているのでしたね。
この記事は、リンクされているので、トラックバックとして表示されております。

上の説明ではわかりにくかったですかね。
こちらにトラックバックされた記事の題名ついた項目の最後右下に、「トラックバック」というリンクがありますね。(「Permalink」「コメント」と並んで)
トラックバックされた記事の数が()内に表示されていて、「トラックバック」のリンクを推せば、このブログからトラックバックした記事へのリンクが現れます。

ちなみにわたしは「kojitakenの日記」のトラックバックから、この記事にたどり着きました。
いちばん早いのは、左欄の下部にある「最近のトラックバック」という箇所を見ることです。トラックバックできていれば、そこに該当記事の題名が出ます。

トラックバックに出ていますよ
http://d.hatena.ne.jp/kojitaken/20121014/1350187764
左欄の下方にもトラックバック記事のリンクが出ます。
はてなダイアリーに慣れてないので気づかれにくいのかもしれませんが、
「kojitakenの日記」の場合、
日付欄にかかれた総見出しではなく、
項目ごとの小見出しをクリックすると、コメントもトラックバックも表示されます。

コメントは、はてなユーザーのみ書き込めるようです。

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