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2016年2月 8日 (月)

安倍晋三と“悪魔の証明”

 母親の介護に日々追われている身としては書くことに時間を取られたくないのだが、インターネットをざっと見る限りでは代わりに書いてくれている人が他にいないようだ。仕方がないから私自身が書くことにした。
 安倍晋三と“悪魔の証明”についてである。

 この2月3日午後、衆議院の予算委員会で、民主党の岡田代表と総理大臣安倍晋三との間に以下のようなやりとりがあったそうだ。

岡田「2日の本会議での質問で、安倍内閣の政策が政治献金で影響を受けることはないと断言されたが、何を根拠に断言したのか」
安倍「ないからです」
(中略)
岡田「首相が本会議場で安倍内閣の政策が、政治献金で影響を受けることはないと断言したから言っている。断言された以上は、その根拠を示さなければならないのはあなたではないか」
安倍「ないということをない、と証明するのは悪魔の証明だ。あるものをあるんだ、と言うんだったら、あるということを主張してる側に立証責任がある。当たり前だ。私はないものについてはないと言う以外はないじゃないですか」
(以上、「産経ニュース」より
 http://www.sankei.com/politics/news/160203/plt1602030048-n5.html)

 安倍晋三の議論がいい加減なご都合主義だとする指摘は、ネット上でいくつか見た。私自身もすぐに思い出したことだが、ブッシュのイラク攻撃について彼はまったく逆のことを言っていたのだ。
 イラク攻撃が正当なものであった根拠として、“大量破壊兵器”を持っていないことをフセインが証明できなかったと、彼は答弁していたのである。
(英国は後になってしっかり反省しているが、日本政府は全然無反省なのだ。
 これは単なる過去、過ぎてしまった昔の話で済むような問題ではない。山本太郎議員が言っていたように、過去の総括がしっかりできなければ、この先も正しい情勢判断などできるはずがないからである)

 上記に関する指摘はいくつか見た。しかし、私がこれから明らかにしたいと思っている点については、言及を見ていない。
 安倍の言い分――岡田は“悪魔の証明”を求めているという言い分――が正しいかどうかである。

 ネットのニュースを見ても、せいぜいが上のやりとりを紹介しているだけのものばかりである。
 また、以下のようなブログもあって、安倍の主張を字面どおりに受け取るばかりで、まともな判断ができていない輩もいる。

フランケン、安倍首相に「悪魔の証明」求める!
http://blog.goo.ne.jp/taezaki160925/e/15442e374d3bd3a73b870f94ac744d06

 岡田自身も「ないと断言したのはあなたの方だ」という反論しかできていない。
 ほんの少しだけ頭を使えば、安倍の論理がまるでデタラメであることが分かるのに、それをはっきり指摘する議論が見られない現状なのだ。
 私としては、もう少し論理的に、反論の余地がない形で、完膚なきまでに、安倍の議論の欺瞞性を国民みんなの目の前で明らかにしてもらいたかったのであるが、期待するのは無理だったか。

 そこで、本論。

 問題を整理すると、岡田は決して「ないものをないと証明する」ことなど求めていなかった。
 安倍が“ない”と“断言した”その“根拠は何か”と質問したのである。

 断言した、というのは敷衍すると以下のような意味になる。
「“ない”ことは絶対確実な、間違いない事実である、と主張した」
 この主張がどんな意味を内包しているか、さらに厳密に示すべく表現をつきつめると、
「“ない”ことは、私にとって既に“証明”ずみであり、明らかなことである」
 こう安倍は言っていたわけなのだ。

 安倍は“ないと断言した”ことにおいて、「ないものをない」とする証明がすでに完了していると言明したのである。
 安倍は自らそうした証明は不可能だと主張する一方で、その証明が出来ていることを前提にしなければ為しえない発言を、自分自身はしているのだ。
 これは、「悪魔の証明」がなされたという言明であり、不可能を実現したと主張する、明らかに虚偽の言明と言わなければならない。

 安倍は――常識がただちにそうと認めるように――断言できないことを断言して開きなおっていたわけだ。
 ないものはない、などと断言してはいけなかった。
 ゆえに岡田の質問に対しては、「断言する根拠はありませんでした。発言を撤回します」と答弁しなければならなかったのである。
 QED.

 安倍の主張がまったき暴論であることは、「悪魔の証明」などを云々しなくても常識で判断できる。
 ないと断言した根拠は何かと質問されて、「ないからです」などと答えてすませると思えるのは、むしろ「悪魔の証明」という概念が意味するところをまるで理解できていないからだ。

 「ないからないのだ」などという答えが無意味なのは小学生でも理解できるはずである。
 政策が政治献金によって影響を受けることがあるかないか、それは日々のたゆまぬ検証によってしか示し得ない。安倍の表現を持ってくるならば、そんなことは“当たり前”の話である。
 
 甘利前大臣の件について言うならば、彼からしっかり事情聴取をし、確認すべきことを改めて確認し、その結果として出てくる「ない」だけが意味がある。

 というような具合いに、

 安倍晋三が二度目の政権について以来、国会での言論がどうしようもなく愚劣なものになってしまっている。
 彼の論法は既に明らかだと私は思う。
 答えない・別の(関係のない)ことを答える・ひたすらはぐらかす……そんなことばかりなのである。
 なぜ自分の信じるところを正面から明確に言おうとしないのか。
 戦争法国会では、彼は自分の考えをひたすら隠そうとばかりしていた。
 憲法解釈を変えておいて、これまでと何も変わらないと言う。変わらないのなら変える必要はないし、現に変えておいて変えていないなどというバカな話があり得ようか。

 野党の諸君は、これらの欺瞞に対しては、もうとっくに理解し、対策を講じているべきであるが、(志位氏や山本氏などを例外として)いまだに同じ轍を踏み続けているように思える。
 今回の「悪魔の証明」答弁についても同様であって、本質的・決定的な論駁を行えていない。

 対策は実に簡単だ。彼の議論は、論点のずらし、問題のすり替えをこととする。何か変なことを言っていると感じたら、どんな“ずらし方”をしているのか、どんな“すり替え”をしているのかを考え、そこを指摘し、追及すればいいのである。

 たとえば、憲法についての認識。
 安倍晋三は、現行憲法が「日本人の精神に悪い影響を与えている」と過去に述べたことがある。大串という議員が、現在もこの見解に変わりはないかただしたところ、おおむね次のように答えた。
――憲法を検討することすら許しがたいと言っている人たちがいる。こういう思考停止は間違いなく精神に悪い影響を与えている

 安倍は「憲法」が「悪い影響を与えている」と言っていたのだ。
 ところが、答弁では「憲法についての思考停止」を持ち出して、それが「悪い影響を与えている」と主張する。
 論点のすり替えもはなはだしい。

 ところが、この議員、まともな反論もできずに引き下がっている。
 情けないことおびただしい。

 上記のすりかえをしっかり指摘し、その姑息な議論のしかたに警告を発し、あくまで当初の質問に答えることをもとめるべきであった。

 また、誰が「憲法を検討することすら許しがたい」というようなことを言っているのか。その例示を求めるべきであった。
 安倍は存在しもしない敵をでっち上げて、それを攻撃しているだけなのだ。
 そして、そんな無意味な攻撃によって自分たちの正しさを主張するのである。

 さて、“枚挙にいとまがない”というやつで、安倍晋三のデタラメな議論を取り上げていたらキリがない。
 今回は、とりあえずここまでとしておくが、民主党の面々は、これまでさんざんそんなインチキをされてきながら、いまだに対処ができていない。学習能力というやつを持ち合せていないのだろうか。
 清原逮捕のご感想を安倍晋三閣下にお聞きして、そのお言葉を賜わろうとしていた民主党議員がいた。このような、まるで緊張感のないテイタラクを根本的に改めなければなるまい。
 反省を促しておきたい。

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